2013/06/13

偽りなき者 Jagten


邦題「偽りなき者」 原題"Jagten" 英題"The Hunt"

ひどく打ちのめされて劇場を後にし、日が経っても何度も反芻していろいろ考えている。
私はこんな絶望的に身の潔白を証明できない状況で親しい人を信じられるだろうか、私自身は信じてもらえるだろうか。

マッツ・ミケルセンがカンヌ国際映画祭主演男優賞受賞した作品。
何が凄いってみんな役者さんであることを忘れてしまうほど、本当にクララに何でやねんと詰め寄りたい、テオを、ルーカスの友達だった人達にあんたら長い間いったいどこを見てたのかと詰め寄りたい。
クララの兄とその友達をぶんなぐってやりたい。ルーカス役のマッツが最後の教会でのシーンに8時間泣きっぱなしで集中力が切れなかったというエピソードを聞いた時にえ?ああ、そうか演じてたのか!と思うぐらいにマッツはマッツでなくルーカスでした。

ルーカスがテオの家に行って奥さんの目を盗んでパイを食べる時のさりげなくて自然なチームワークは二人の付き合いの濃密さを物語る。クララは線を踏まないように歩いている。これが話の中で色々なきっかけになると同時にクララの性格も表している。
園長先生がクララの話をリアルな言葉ゆえ信じてしまったその言葉の出所や、クララが話は嘘だったと言っても逆に信じてもらえない状況の巧みさ。キャラクターを表す伏線や話の流れがさりげないのに破綻しないから真実味があり、故に絶望的である。小さな雪の玉が転がりだして大きく大きくなっていってもはや誰も止められない。

小学校も無くなってしまうような小さな街。みんなが古くからの知り合いである。そんな付き合いの中ででも信じてもらえない。そんな閉鎖的な街だからこそなのか。
この町にはルーカスの全てがある。ここにしか居場所はない。

事が起こるまでのルーカスの日々が平凡だけど、完璧でないけれど幸せで、その分途中からの展開が辛くて辛くてそれでも僅かな希望を抱かずにはいられなかった。マッツが素晴らしすぎてその分辛すぎた。
また観たいでももう観たくない。

話とは関係ないけど北欧映画だから幼稚園の家具とか素敵なんです。テオの家は扉と部屋の中の壁がコーディネートされていて本当に素敵。

カンヌのレッドカーペットでマッツはクララ役のアニカちゃんのことをずっと気にかけてあげてて9:03~雨が降ってるので階段をお姫様抱っこでワープ!マッツ素敵すぎる♥


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